運営管理:オペレーションシステム部門の重要要点とポイントの整理
その1:「運営管理」
中小企業診断士試験Ⅳ「運営管理」にはA生産管理とB店舗・販売管理の二つの分野があります。
A「生産管理」は、QCD(クオリティ・コスト・デリバリー)を実現するために
工場などの生産現場におけるノウハウを問う問題となります。
身近な例(ハンバーガー店など)をイメージしながら学習していきます。
◆A「生産管理」
(テーマ1)生産管理の基礎知識 → 製造業のコンサルティングに活かせる
~ ファストフード店での生産管理を「作業マニュアル」で行う場合のチェック項目の例 ~
品質:クオリティー
(Q 品質管理) |
□衛生管理を徹底しているか □決められた分量を守っているか □作業手順を守っているか |
原価:コスト
(C 原価管理) |
□ミスによる廃棄はないか □作りすぎによる無駄はないか |
提供:デリバリー
(D 納期管理) |
□注文から提供までの時間は決められた時間内か □混雑時を想定した訓練をしているか |
◆Q品質管理の対象には(1)「設計品質」と(2)「製造品質」がある。
・(1)「設計管理」 ニーズに合致した製品(商品)が設計に織り込めているかチェック
・(2)「製造管理」 品質を保証する製造方法とマニュアル整備、さらにその手順どおり製造できているかのチェック
◆ECRSの原則について
E(エリミネイト:消去)、C(コンバイン:結合)、R(リアレンジ:再編)、S(シンプリファイ:簡素化)の4つの原則をいい、作業工程の「ムリ・ムダ・ムラ」を無くし、主に生産現場での改善を行う。
一連の作業全体の流れの中で
- ① 無くせるもの
- ② まとめて一緒にできるもの
- ③ 効率的にやり方を変えれるもの
- ④ もっと簡単にできるもの
①から順に④まで、できるものがあれば改善を検討する。
これがECRS(イーシーアールエスの原則)です。
テーマ2:モノの作りかたと管理方法
工程等の管理に関する基本的な用語には、次のものがあります。
- ECRS:無駄の排除(無くす、統合する、入れ替える、簡素化する)
- 5S:整理、整頓、清掃、清潔、しつけ
- 3S:単純化、専門化、標準化
- 4M:マン・マシン・マテリアル・マネー・システム
◆受注生産における課題
- コスト・見積もりの精度向上
- 生産から納品までの時間短縮
- 平準化(受注量)
◆見込み生産における課題
- 需要予測の精度向上(ビッグデータの取込)
- 需要予測に連動した生産がどこまで可能か
- ~(例:天気による弁当の需要予測から、その日の朝に生産量を決定する)~
◆品質管理に使用する「QCの7つ道具」
- パレート図
- 特性要因図
- 散布図
など
◆同上の「新7つ道具」とは?
- PDPC法
- 系統図法
- マトリックス図法
- 連関図法
- 親和図法
- アローダイヤグラム法
- マトリックスデータ解析法
これらは実際の問題で、どうなのかを分析しつつ学習法を探ることにします。
その他
◆工場レイアウトプランニング(SLP:システマ・・レイアウトP)のいろいろな手法
①P-Qチャート
最初の一歩として、製品ごとの生産量を正確に把握するための手法
~『プロジェクト(製品)-クオンティティ(生産量)』の分析にグラブを使って表す方法~
- 横軸 ⇒ 製品種類 / 縦軸 ⇒ 製品毎の生産量
- ・・・ 製品種類は 生産量が小なら、グループ別、機能別にまとめることがある ・・・
②運搬活性指数
「4つの動作」における「手間」を 5段階評価(0,1,2,3,4,5)する
運搬活性化指数=4-(手間の数) ⇒「0 が最も動きがなく、活性していない」
(表の見方)
状態 | まとめる | 起こす乗す | 積上げ込む | 移動する | 手間数 | 指数 |
床にバラ置き | ○ | ○ | ○ | ○ | 4 | 0 |
束か容器 | × | ○ | ○ | ○ | 3 | 1 |
パレットの上 | × | × | ○ | ○ | 2 | 2 |
台車か車両 | × | × | × | ○ | 1 | 3 |
ベルトコンベア上 | × | × | × | × | 0 | 4 |
テーマ3: 売れる店舗づくり
(1)店舗レイアウトと客動線
◆客動線を考えた店舗レイアウトの例
(例:コンビニ)
基本のレイアウトの常識は
「入口 → 近い棚 → 順に歩いて → 1番遠い棚に需要大の商品」
といった客の流線を店内に長く誘って、多くの商品を見せることにあります。
すなわち
「動線コントロール」がポイント
この動線の途中に「マグネット商品(魅力ある商品)」を散りばめて、意図的に客動線を長くする方法
これを「動線コントロール」といい、この手法により、入店歩行途中の衝動買いを誘う、という手法です。
参考として、小売業における基本キーワードを覚えます。
◆客単価=(買い上げ個数 × 商品単価)/客一人
◆売場生産性=売上高÷売場面積
(2)売れる店舗の照明
照明は「ただ明るくすればよい」というものではない。 いろいろな目的で考えて設置する。また、ディテール的にも「宝石などの貴金属や買回品など」それぞれの特徴から、照明もこだわる必要がある。
照明の基本
店舗では、通常、入口よりも奥をより明るくするのが一般的である。
たとえばコンビニでは、入口〈照度1〉に対して奥の陳列棚〈照度2~4)とするのが常識となっている。
照明の目的(役割)
- アピール :店舗の存在自体を知らせる
- イメージ :商品のイメージを演出
- 回遊 :顧客を店舗内に長く見てもらう
- 購買意欲 :明るさや色で、購買意欲をそそる
- 差別化 :明るさや色で、他と違う雰囲気を創造する
証明に関する基礎知識
店舗・事務所等の照明の目安となっているのは「照度:ルクス(jis規格)です。
ついでに、照度、光度、光束、輝度について一口メモ作成
- 照度:ルクス(Lx)光度/(距離)の二乗
- 光度:カンデラ 光源の光の強さ
- 光束:ルーメン 人間の目に入る光の量
- 輝度:カンデラ/㎡ 人の目に反射して見える明るさ
売り場や商品を演出する色彩
1)フェイスアウトの陳列では、明るい色彩の商品を前に
2)陳列棚では、上部を白く、下部を黒っぽい色に
3)フェイスごとに、上から下まで同じ色を使う.
4)左右で、色を変える場合には、色相環図(虹色の順)に従うと、売り場に連続性が出る。
5)優しい印象は、明度(色の明るさ)が高い白色がよい。ベビー用品は白っぽいが好まれる。
6)オクラは緑色の袋に、ミカンはオレンジの袋に、同化現象でより美味しく見える。
など
売り場を演出する色彩の基本
上部 白を基調に軽い色 を選ぶ |
下部 黒を基調に重たい色を選ぶ |
テーマ4:商品陳列の知識
◆陳列棚の「ゴールデンゾーン」とは、最も手を出しやすい(0.6m~1.5m)の範囲、位置のゾーンのこと。
- 陳列棚の「ゴールデンゾーン」
1.8m~2.1m | 手に取りにくい高さ | POP 商品サンプル、在庫 |
1.5m~1.8m | 手に取れる高さ | 主力でない商品(大人向け) |
0.6m~1.5m | 手に取りやすい高さ
【ゴールデンゾーン】 |
目玉商品 主力商品
季節商品 売上勝負 |
0.3m~0.6m | 手に取れる高さ | 主力でない商品(子供向け) |
0~0.3m | 手に取りにくい高さ | その他低頻度商品 在庫 |
◆フェイシングとは、「陳列の最前面の数を決めること」
フェイスング管理のポイント
- 商品ごとに最適な面を「フェイス」すること
- 同系列の商品は縦(上下)に陳列する。(幅は0.9mまで)
- 商品を見比べる場合は横(左右1.8mまで)に陳列
- 重点商品は多く
以上を基本として、実績データを見ながら変えていく。
◆品揃えを考える指標「GMROI」(グロス・マージン・リターン・オン・インベストメント)
流通業における「資本利益率」のことで、「交差比率」も同様に活用する。
◆小売業において、マーチャンダイジング活動を行っていく指標で、企業の管理会計の分野に相当する。
-
- GMROIは、品揃えを「売上総利益」と「商品回転率」を高める視点で見る
- =売上総利益/平均在庫高(原価)*100
- =(売上総利益/売上高) * (売上高/平均在庫高(原価)*100
- 交差比率もGMROIと同様に使う。売価で計算するので掴み易い
- =売上総利益/平均在庫高(売価)*100
- =(売上総利益/売上高) * (売上高/平均在庫高(売価)*100
◆チェックポイント
GMROIの数値が高い商品は、「少在庫で高利益」の優良商品を表している。
◆売価値入率についての過去問
(問) 下記の場合の粗利益率を計算せよ。
・仕入単価 80円 1000個仕入れる ・売価値入率20% ・800個 ⇒ 定価販売 ・200個 ⇒ 10%値下げ |
(解答)平均売価=(100円×800+90円×200)/1000個
=98円/個
売価値入率=(98円―80円)/98円 * 100
=18.4
本日は以上。