「企業経営理論」は、一次試験のみならす、二次試験、さらには合格後もフル活用できる分野
◆出題範囲
一次試験の出題範囲は1「経営戦略論」2「組織論」3「マーケッティング論」が各1/3ずつですが、組織論がやや多く、且つ労働関連法規が必ず4~5問出題されるのでマークしておく。
テーマ1 経営戦略論その1:「企業戦略としてのSWOT分析」について
-
- 内部環境を(強みと弱み)から分析する Strength と Weakness
- 外部環境を(機会と脅威)から分析する Opportunity とThreat
【内部環境分析】 【外部環境分析】
SW OT
Strength (強み) |
Opportunity (機会) |
Weakness (弱み) |
Thereat (脅威) |
SWOT分析の活用例
戦略課題を考える手順での位置づけ
手順1 中長期的な会社のあり方(ビジョン)を設計する
手順2 SWOT分析を行う
手順3 重要ポイントの洗い出しを行う
手順4 脅威を機会と捉える 強みを活かし弱みを補強するための課題を設定
SWOT分析の行い方、留意点
①バリューチェーン、ポジショニング、PEST分析などを上手く使い効率的に行う
②将来の状況変化をしっかりイメージする。
③機会と脅威分析(外部環境分析)で、自社や市場の環境変化、ライバル社の有無や、さらには、TTPやIT革命といった世の流れも読む
④強みと弱みの分析(内部環境分析)で、自社の強み弱みを競合他社や具体的データによって正確に分析する
クロスSWOT分析
SWOT分析だけでは情報収集のレベルであることが多い。
戦略立案のレベルに達するためには「クロスSWOT分析」の手法を用いて
強み(S)を活かして、機会(O)に対応する戦略を立てる必要があります。
クロスSWOT分析により、経営戦略の中核である「戦略ドメイン」を確立します。
クロスSWOT分析はどのようにするか
1.SWOT分析の情報を元に、それぞれをクロスさせ4つの問いに答えます。
2.最優先は「強み(s)を活かして機会(O)を勝ち取り、シェアを拡大すること」です。
3.分析と課題解決マトリックス
|
強み (Strength) |
弱み(Weakness) |
機会
(Opportunity) |
強みを活かして機会を勝ち取る 【最優先】 |
弱みを補強して機会を逃さないようにする |
脅威
(Threat) |
強みを活かして脅威を最小限に止める。更に機会に変える。 |
最悪のシナリオを回避する |
4戦略ドメインの確立から、事業ドメインの確立へ
3つの要素 ①誰に(標的になる顧客)②何を(顧客のニーズ)③どのように(独自ノウハウ)から、問題点と対応策を立てていく。
テーマ2:モノの作りかたと管理方法
工程等の管理に関する基本的な用語には、次のものがあります。
- ECRS:無駄の排除(無くす、統合する、入れ替える、簡素化する)
- 5S:整理、整頓、清掃、清潔、しつけ
- 3S:単純化、専門化、標準化
- 4M:マン・マシン・マテリアル・マネー・システム
◆受注生産における課題
- コスト・見積もりの精度向上
- 生産から納品までの時間短縮
- 平準化(受注量)
◆見込み生産における課題
- 需要予測の精度向上(ビッグデータの取込)
- 需要予測に連動した生産がどこまで可能か
- ~(例:天気による弁当の需要予測から、その日の朝に生産量を決定する)~
◆品質管理に使用する「QCの7つ道具」
など
◆同上の「新7つ道具」とは?
- PDPC法
- 系統図法
- マトリックス図法
- 連関図法
- 親和図法
- アローダイヤグラム法
- マトリックスデータ解析法
これらは実際の問題で、どうなのかを分析しつつ学習法を探ることにします。
その他
◆工場レイアウトプランニング(SLP:システマ・・レイアウトP)のいろいろな手法
①P-Qチャート
最初の一歩として、製品ごとの生産量を正確に把握するための手法
~『プロジェクト(製品)-クオンティティ(生産量)』の分析にグラブを使って表す方法~
- 横軸 ⇒ 製品種類 / 縦軸 ⇒ 製品毎の生産量
- ・・・ 製品種類は 生産量が小なら、グループ別、機能別にまとめることがある ・・・
②運搬活性指数
「4つの動作」における「手間」を 5段階評価(0,1,2,3,4,5)する
運搬活性化指数=4-(手間の数) ⇒「0 が最も動きがなく、活性していない」
(表の見方)
状態 |
まとめる |
起こす乗す |
積上げ込む |
移動する |
手間数 |
指数 |
床にバラ置き |
○ |
○ |
○ |
○ |
4 |
0 |
束か容器 |
× |
○ |
○ |
○ |
3 |
1 |
パレットの上 |
× |
× |
○ |
○ |
2 |
2 |
台車か車両 |
× |
× |
× |
○ |
1 |
3 |
ベルトコンベア上 |
× |
× |
× |
× |
0 |
4 |
テーマ3: 売れる店舗づくり
(1)店舗レイアウトと客動線
◆客動線を考えた店舗レイアウトの例
(例:コンビニ)
基本のレイアウトの常識は
「入口 → 近い棚 → 順に歩いて → 1番遠い棚に需要大の商品」
といった客の流線を店内に長く誘って、多くの商品を見せることにあります。
すなわち
「動線コントロール」がポイント
この動線の途中に「マグネット商品(魅力ある商品)」を散りばめて、意図的に客動線を長くする方法
これを「動線コントロール」といい、この手法により、入店歩行途中の衝動買いを誘う、という手法です。
参考として、小売業における基本キーワードを覚えます。
◆客単価=(買い上げ個数 × 商品単価)/客一人
◆売場生産性=売上高÷売場面積
(2)売れる店舗の照明
照明は「ただ明るくすればよい」というものではない。 いろいろな目的で考えて設置する。また、ディテール的にも「宝石などの貴金属や買回品など」それぞれの特徴から、照明もこだわる必要がある。
照明の基本
店舗では、通常、入口よりも奥をより明るくするのが一般的である。
たとえばコンビニでは、入口〈照度1〉に対して奥の陳列棚〈照度2~4)とするのが常識となっている。
照明の目的(役割)
- アピール :店舗の存在自体を知らせる
- イメージ :商品のイメージを演出
- 回遊 :顧客を店舗内に長く見てもらう
- 購買意欲 :明るさや色で、購買意欲をそそる
- 差別化 :明るさや色で、他と違う雰囲気を創造する
証明に関する基礎知識
店舗・事務所等の照明の目安となっているのは「照度:ルクス(jis規格)です。
ついでに、照度、光度、光束、輝度について一口メモ作成
- 照度:ルクス(Lx)光度/(距離)の二乗
- 光度:カンデラ 光源の光の強さ
- 光束:ルーメン 人間の目に入る光の量
- 輝度:カンデラ/㎡ 人の目に反射して見える明るさ
売り場や商品を演出する色彩
1)フェイスアウトの陳列では、明るい色彩の商品を前に
2)陳列棚では、上部を白く、下部を黒っぽい色に
3)フェイスごとに、上から下まで同じ色を使う.
4)左右で、色を変える場合には、色相環図(虹色の順)に従うと、売り場に連続性が出る。
5)優しい印象は、明度(色の明るさ)が高い白色がよい。ベビー用品は白っぽいが好まれる。
6)オクラは緑色の袋に、ミカンはオレンジの袋に、同化現象でより美味しく見える。
など
売り場を演出する色彩の基本
上部 白を基調に軽い色 を選ぶ |
|
下部 黒を基調に重たい色を選ぶ |
テーマ4:商品陳列の知識
◆陳列棚の「ゴールデンゾーン」とは、最も手を出しやすい(0.6m~1.5m)の範囲、位置のゾーンのこと。
1.8m~2.1m |
手に取りにくい高さ |
POP 商品サンプル、在庫 |
1.5m~1.8m |
手に取れる高さ |
主力でない商品(大人向け) |
0.6m~1.5m |
手に取りやすい高さ
【ゴールデンゾーン】 |
目玉商品 主力商品
季節商品 売上勝負 |
0.3m~0.6m |
手に取れる高さ |
主力でない商品(子供向け) |
0~0.3m |
手に取りにくい高さ |
その他低頻度商品 在庫 |
◆フェイシングとは、「陳列の最前面の数を決めること」
フェイスング管理のポイント
- 商品ごとに最適な面を「フェイス」すること
- 同系列の商品は縦(上下)に陳列する。(幅は0.9mまで)
- 商品を見比べる場合は横(左右1.8mまで)に陳列
- 重点商品は多く
以上を基本として、実績データを見ながら変えていく。
◆品揃えを考える指標「GMROI」(グロス・マージン・リターン・オン・インベストメント)
流通業における「資本利益率」のことで、「交差比率」も同様に活用する。
◆小売業において、マーチャンダイジング活動を行っていく指標で、企業の管理会計の分野に相当する。
-
- GMROIは、品揃えを「売上総利益」と「商品回転率」を高める視点で見る
- =売上総利益/平均在庫高(原価)*100
- =(売上総利益/売上高) * (売上高/平均在庫高(原価)*100
- 交差比率もGMROIと同様に使う。売価で計算するので掴み易い
- =売上総利益/平均在庫高(売価)*100
- =(売上総利益/売上高) * (売上高/平均在庫高(売価)*100
◆チェックポイント
GMROIの数値が高い商品は、「少在庫で高利益」の優良商品を表している。
◆売価値入率についての過去問
(問) 下記の場合の粗利益率を計算せよ。
・仕入単価 80円 1000個仕入れる
・売価値入率20%
・800個 ⇒ 定価販売
・200個 ⇒ 10%値下げ |
(解答)平均売価=(100円×800+90円×200)/1000個
=98円/個
売価値入率=(98円―80円)/98円 * 100
=18.4
本日は以上。